このページは『2021年ブルーベリー休眠挿しの記録』の続きです。
上記の挿し木の他にも、以下のような枝では挿し木が成功するのか?試してみました。
- 爪楊枝よりも細い枝
- 爪楊枝と同じくらいの枝
- 前年に伸びた枝ではなく、それよりも前の枝
- 時期が遅れ、若干展葉が進んだ枝
その経過や、初めてプラグトレイ(セルトレイ)で挿し木をしてみての感想について紹介します。
爪楊枝より細い枝
今春に購入したブルーベリーの苗に、爪楊枝よりも細く小さい(もしくは同じくらい)枝がけっこうありました。
まだ苗も小さいので、太めの枝を剪定し、挿し木に使うのはなんとなく心配。
でも、細いのなら問題ないのでは?と、爪楊枝よりも小さい枝からは根が出るのか?試してみました。
以前にも試したことがありますが、しっかりとは覚えていません…。今回はその極小枝を挿し木して、その経過を追ってみたいと思います。
挿木の時期は、4月中旬。
用土はピートモス6:鹿沼土3:パーライト1(植え替えに使った残り)
【挿し木開始の様子】
品種はデュークです。
実際にみると、本当に小さいです。もう、半分遊びですね。。
【1ヶ月後】
5月中旬
芽(葉)は成長していますが、挿し木の上から茶色に変色してしまっています。
一応、ブラックチップは出ているようですが、あまり調子はよくないようです。
【2ヶ月後】
6月中旬。
爪楊枝がさしてある穴の挿し木は、葉が落ちて残り1枚。これ生きてるの?という、なんかヤバそうな状態。
他の挿し木の陰に隠れてしまってますが、ひとつ奥(隣)の極小枝がまずまずなのでこのまま経過観察したいと思います。
上からの変色は途中で止まったので、この原因はおそらくは乾燥によるものじゃないかと。いいのかわかりませんが、変色部分を切ってみました。
【3ヶ月後】
7月中旬
爪楊枝と一緒にある挿し木は変わりないですが、奥の挿し木は淡い色の新しい葉が確認できますね!
おそらく、これは根が出ているんじゃないかと思います。
【4ヶ月半後】
4ヶ月半後の8月末。
発根しているとしたら根がけっこう回っていると思うので、発根状況の確認ついでに鉢上げしてみたいと思います(注:鉢上げ時期については適切なのかわかりません)
地上部
爪楊枝より細い枝、根は出ているのでしょうか?
根がしっかり出てますね!
特に右側。葉が1枚しかない左側は根が出ているか心配でしたが、少ないながらも出ていました。
爪楊枝より細い極小枝でも根は出るもんですね。
【結果】
爪楊枝より細い挿し木でも発根する。
今回はたまたま発根した穂木の経過をみましたが、もちろん他に失敗し枯れている挿し木もあります。
成功率に関しては詳細に確認しませんでしたが、他の品種(挿木)も含めると全体的に50%はあったんじゃないかと思います。
太い枝よりも細い枝の方が発根しやすいという情報があります。その通りだとは思いますが、挿し木がヘタな自分としては枝の太い細いよりも、育てやすい頑丈な品種は発根しやすく、
逆に弱い言われるスパルタン(今回は全滅)などのは発根しにくいなという印象が強いです。
今回経過を追った爪楊枝より細いこの穂木ですが、品種は強いとされるデューク。そのため発根率が高かった(葉が1枚になっても発根)のではないかと思います。
爪楊枝と同じくらいの枝
爪楊枝より細い枝と同じように、爪楊枝くらいの枝では発根すのか?試してみました。
挿し木をした時期や条件は爪楊枝より細い枝と同じです。
結論から言えば、爪楊枝枝より細い枝でも根がでたので、こちらも無事根がでました。
時期、土などの条件は「爪楊枝より細い枝」と同じです。
【挿し木開始の様子】
だいたい、爪楊枝と同じくらいですね。
品種はカロラインブルー。今年購入した品種ではないですが、保険苗として。
【1ヶ月後】
挿し木をしたときより芽が成長し、色もより緑色になっています。
【2ヶ月後】
爪楊枝と一緒の挿し木は、成長が中断中です。その手前のは状態がよさそう。
【3ヶ月後】
3ヶ月経過しましたが、芽の成長は始まりません。ほとんど変わりなし。
周りの挿し木は二次成長が始まっているのに・・・。経過をみる対象としては間違えたか…。
ということで、同品種で同じ爪楊枝くらいの別の挿し木の【3ヶ月後】の様子を急遽ですが、見てみます。(すごいイキナリ感だ。)
新しい葉が出ていますね。発根していると思われます。
【4ヶ月半後】
4ヶ月半後の8月末、こちらも根の様子を確認してみたいと思います。
芽の伸長がないこちらの挿し木。抜いて確認してみたところ、根はやはり出ていませんでした。(写真は撮りませんでした)
急遽、経過観察を初めた別の爪楊枝くらいの枝の様子を確認してみます。
こちらの挿し木
根は出ているのか?
すごい根のはり具合です!
まあ、急遽観察に加えるということはそれなりに調子のよさそうなものを選んだわけで、当然といえば当然ですが・・・。
それにしても根の量がすごい。同じ品種、同じ爪楊枝くらいの細さでも採取する枝によっては根の張りが全く違うなんて驚きです。
【結論】
爪楊枝よりくらいの細い枝でも発根する。
こちらも発根の成功率は確認しませんでしたが、やはり育てやすい品種の挿し木ほど発根しやすいと思います。
前年より前の枝
休眠挿しは、前年に伸びた枝を使うと発根すると言わてますよね?
逆にそれよりも前の枝を使ったら発根するのか?興味本位で試してみました。
挿木時期などの条件は、上記と同じです。
【開始時】
参考程度に鉛筆と比較。大体同じくらいです。
振り返ってみて気付いたのですが、枝の断面が変色しているのでこの挿し穂は部分的に枯れていたのかもしれません。
【1ヶ月後】
一応、小さな芽が出てきています。
【2ヶ月後】
ご覧のとおり枯れてますね。他の枝もだいたい同じようになっています。
この挿し木ではないですが、後で抜いて確認したところ、最もいいところまでいけたのでカルスまでは形成されているようですが、そこで枯れました。
自分の管理に問題があったという可能性もあると思いますが、前年枝よりも前の枝は発根せず枯れやすい、ということなんでしょう。
展葉した枝を使い、時期的に少し遅い挿し木
挿し木の時期としては若干ですが遅くなって、展葉が少し進んだ枝を挿し木した場合は発根するのか?確認してみました。
品種はピンクレモネード。時期は4月中旬。
【開始時】
挿し木に使ったのは画像の通りで、少し芽が成長しています。5本挿し木してみました。
【1ヶ月後】
5月中旬。さらに芽が伸長しています。
【2ヶ月後】
一番右の挿し木が枯れてしまっています。残り4本です。
【3ヶ月後】
7月中旬。芽の先に淡い色の新たな芽が伸びているので、発根していると思います。
【5ヶ月後】
5ヶ月後の9月中旬、こちらも発根状況の確認と鉢上げをしてみたいと思います。
途中でさらに1本が枯れてしまいましたが、残り3本は無事に発根しています。左側の挿し木がいい根の張り具合。右側は画像では見えないですが、弱々しいながらも根は出ています。
発根はしてまいますが、挿し木してから5ヶ月が経過している割には根の成長が遅い気がします…。
【結果】
開始時の画像のように、展葉が少し進んだ枝でも発根はしました。
5本中3本の成功なので、発根率はまずまず。
今回、成功率がやや高めなのは根が出やすいピンクレモネードだったことや、芽の伸長がそんなに進んでなかったことからだと思います。
実は、上記のピンクレモネードよりももさらに遅い4月末に挿し木をしてみました。
画像の通り、けっこう芽が伸びてしまっている状態です。
左からホームベル、ティフブルー、チャンドラー(画像はありませんが同じようなエリザベスも)
結果としては、ホームベルは少なくとも半分は成功、ティフブルー3本中2本、チャンドラーなどはたくさん挿した中で生き残ったのはわずか2~3本。
ラビットアイ系はまあまあ根がでますが、ノーザンハイブッシュ系は壊滅状態。
途中で葉(芽)がしおれてしまうんですよね。水を吸い上げるバランスが崩れるのか、それとも時期的に他に原因があるのか・・・。(正直に言うと水切れ気味にしてしまったかなぁというのはあります…。)
時期が遅くなった休眠挿しについては、以前(たしか一昨年)に、同じように4月末だったか?5月始め?だったかで試したことがありますが、成功率はとても低かった記憶があります。
展葉が進んだ後の休眠挿しでも全く発根しなかったわけではないです。
自分の挿し木が下手ということもありますが、挿し木成功率50%程度の自分が試した結果としては、芽の伸長がだいぶ進んだ休眠挿しは適切な時期の挿し木と比べだいぶ発根率が下がるのではないかと思います。
挿し木にプラグトレーを使ってみて
今年はじめて、プラグトレー(セルトレイ)にブルーベリーの挿し木をしてみました。
プラグトレイは、小さなポット?穴?が連なった育苗用品のようです。
野菜の苗作りに使われることが多いようですが、見かけがよさそうだったので家にあったものをブルーベリーの挿し木に使えるんじゃないか?と実際に挿し木をしてみました。
ポット(穴)ひとつの大きさはトレイの大きさや商品によって違い、今回僕が使ったのは小さめでした。
こんなかんじで、細い枝の挿し木や接木挿しなどをやってみました。
結果として、プラグトレーでも問題なく挿し木ができ、発根も確認できました。
ただ、実際に使てみてのデメリットとして以下のことを感じました。
- 水切れが早い
- はやめの鉢上げが必要
プラグトレーはひとつひとつの穴に入る土の量が少ないので、日当たり良好の場所では水切れが本当に早いなと感じました。夏に近づいてからは、朝と夕の2回水をかけたこともありました。
同様の理由で根の張るスペースも限られるので、根が出た場合は早めに鉢上げしないと成長が遅れてしまいます。
逆にメリットとしては、以下のようなことを感じました。
・場所をとらない
・鉢上げの際、苗へのダメージが少ない
プラグトレーはコンパクトなので、たくさん挿し木をした割にはビニールポットなどの容器よりも場所をとりませんでした。庭がそんなに大きくない自分にとってはこれが大きい!
また、穴(ポット)が別々になっているので、挿し木同士で根が絡まるということがなく、鉢上げの際は根が切れて傷んだりすることはありません。
少々トレイから抜けにくい場合でも、底の排水用の穴を割りばしかなんかで押してやると簡単に抜けました。
そんなに挿す必要はないという場合でも、はさみなどで切って挿し木に使用したい部分だけを使うといった工夫もできそうです。
個人的にデメリットを上回るメリットがあったので、多めに挿し木する場合はまた使いたいと思わせてくれる育苗用品でした。